起業したいけど口下手で営業が苦手、という技術者のため

2014年2月10日

エンジニアの皆様、このような悩みはありませんか。

・今の職場に飽きて独立したいのですが、独立した後に仕事を取れるような自信がない。
・絶対いけると思うアイディアを持っている。しかし作ったらどうやって売るか分からず、永遠に個人プロジェクトで終わってしまう。

技術のことしか考えていなく、口下手で、人と話すのは面倒くさかった。
路上で知らない人に声かけたり、飛び込みで営業したりするのは、想像するだけで手が震えています。
勇気を出して、試しに営業電話1−2本をかけたら相手に冷たく切られて、いじめを受けたような地獄でした。

それは、30際までの僕でした。大手企業のソフトウェアエンジニアとして働き、一生開発者として生きてゆくと思っていました。
会社を起こし、60人がフル回転するような仕事をほぼ自分の営業で取ってきた日が来るとは、想像すらできませんでした。

今でも、「あなた、営業タイプじゃないね」とお客さんにしばしば言われています。

営業についてはまだまだ勉強中で、人に教えるような立場ではないが、
全く営業経験ゼロの方々のためなら少しは役に立つかと思い、今まで経験と、口下手を克服する方法と、技術者なりの営業コツを共有したいと思います。


1) 先ず、PC前の時間を減らしましょう。

毎日忙しく夜10時まで会社で仕事したら、口下手は克服できません。
自宅で何かの開発に集中したら、営業力が育ちません。

僕は今の会社を起こした前に、人生に悩んで、大手企業の正社員をやめて、派遣社員を始めました。
意識して選んだ訳ではなかったが、口下手であった自分を変えてくれた貴重な期間でした。

なぜなら、派遣社員はぴったり17時に帰れるからです。

暇でしょうがない僕は、友達と飲みに行くようになり、週末は色々なイベントに出かける元気が出て、色々な人と会うようになり、何気無く毎日しゃべる量が増えました。

半年ぐらい立つと、元気な声で話すようになり、それまで自分が話している途中に人が平気に割り込んだのに対して、自分の話が終わるまでに人が耳と傾くようになりました。

自分のしゃべりに自信を持つようになったことは、今思えば、大きな一歩でした。

*)元々付き合いが少ない人は、どうやって人と会う機会を作れば良いのか?

僕の場合、数少ない友達に人生相談の形で一回頼んで会いました。その場でまた友達に頼んで、その人達が良く行く飲み会やイベントに連れてもらいました。そこで知り合った人達と仲良くなり、また頼んで、輪を広げてきました。


2)色々な人と仲良くなりました。次は、どうやって顧客を見つけるのか?

自分が得意分野のアピールや、自分がやろうとしたアイディアの売り込みなどは、一旦忘れて良いと思います。

僕も、最初のごろ、営業のつもりで自己アピールしたりしましたが、そんなことに、誰も興味を示してくれませんでした。

形になった物を持つこと以外、「xx企業でyyをやっていました。」とか「○○を考えています」とかは全くアピールにはならないことを、後から分かりました。

それよりも、友人として、相手の仕事の悩みの相談に乗った方が効果的でした。
「今の仕事について、何か悩みありますか?」

酒の席で仕事の悩みを聞かれて、答えない人はほぼいないと思います。

大半、人間関係や会社の業績などへの不満になると思いますが、たまに「○○をやりたいけど、忙しくてできない」が出ます。
これがチャンスです。もっと詳しく聞きましょう。その人がやりたいことは、大半その人しかできないことですが、たまに「誰かいい人知りませんか」と聞かれてきます。

それ状態になって、かつ自分が何かできそうであれば、友人モードから営業モードに切り替えても良いと思います。

例えば、
「私が見ましょうか。」
「調べて、また連絡します。」
「来週、どこかでもう少し真面目に話しましょうか。」
「実はその解決するようなソリューションを作っています、持って行きましょうか。」
(実際作ってなくても良いです。相手が話に乗ってくれれば、一週間もあれば、プロトタイプは作れるでしょう。)
などの話の運び方があります。

僕は、前の会社でモバイル関連の開発をやっていたから、会社をやめた後にもずっとモバイル関連の仕事を探していました。
但し、ある日、飲みの席で紹介された方から、「工作機械の幾何計算アルゴリズムの高速化で悩んでいます。何かいいやり方知らない?」と聞かれました。

「工作機械」?、「幾何計算」?、 初耳ばかりの用語です。しかも、その道20年のプロが悩んで悩んでも解決できない問題を、初心者の僕が解決できる訳が無いと思いました。

でも、酒が入ったことを言い訳にして、次の週にまた会う約束にしました。
その一週間は、あらゆる本を買って、勉強しました。

一週間後に会った時、やはり素人の僕の提案は軽く無視され、その方に「俺はこう考えてるから、やっておいて!」と言われました。やる気だけは評価されたかもしれません。

最初はボランティア感覚で開発に入らせてもらい、徐々にバイト代をもらえるようになり、
仕事が増えた際、「別の人にも頼んでいい?」と聞いたら、
「君が窓口をやってくれるなら」と言われるようになりました。

それが、今の会社の始まりでした。

要注意

如何にお客さんに気に入ってもらっても、時間拘束の契約は絶対避けるべきです。
仕事量に対して見積を出し、発注をもらうプロジェクト式に持っていかないと、永遠に自分がバイトをする形になってしまいます。

別の人に振っても良いような仕事を貰えないと、人を雇って事業にすることができません。

最初はしょうがなく時間給の形から始めても、プロジェクト式で仕事をもらえることを目標に、ずっと交渉していくべきです。


3)一件目の実績ができました。次はどうやって営業の引き合いを増やすか?

僕の場合、最初のお客さんを紹介してくれた方へ報告しに行きました。「おかげさまで、○○さんと仕事ができ、うまくいきました。ありがとうございます!」
「じゃ、俺も仕事を出してみるか」と言って頂きました。

たまたま運が良かっただけかもしれませんが、実績があるということは、どれほど営業に有利なのかを実感しました。

その後、会社設立の挨拶で、それまで会っていた方々に挨拶しに行きました。
実績を見せたら、また色々の人を紹介してくれました。

挨拶 → 紹介をもらい → 紹介された方への挨拶 → 問題のヒアリング → 提案 → 案件成立 → 紹介してくれた方への挨拶 → …
を繰り返しました。

「これは、外回り営業というものか」と初めて実感しました。


4)知り合いでないところへ営業しに行く際、どうアピールすれば良いか?

だんだん、知り合いでないお客さんとの接触が増えてきました。

連絡先だけ渡し、後はフォローしないという紹介や、仲介料を払って紹介してもらう紹介や、
ウェブで見かけて直接問い合わせしてきた引き合いも増えてきました。

この場合、お客さんの立場から見ると、「知らない会社が営業に来た」という感じで、飛び込み営業とはあまり変わらない扱いとなります。

実際、ほぼ何も言わず、こちらの説明をただ聞いて、「今すぐ仕事が無いが、検討させて頂きます」で終わらせたお客さんも多かったです。
但し、たまに積極的に説明したり、相談したりしてくれるお客さんもいました。

その違いは何かを、後から考えれば、一つ気づきました。
お客さんの「言語」でしゃべれるかどうかです。

どんな業界にも、その業界の人しかわからない用語があります。
例えば、「CAE」「荒取り」「立ち壁」「カーネル空間」「DAU」「リワード広告」「マッシュアップ」。。。などなどです。
また、その業界のメージャーの商品やサービスもあります。

事前に調べて、会話の中で自然に専門用語やサービス名を言えれば、「この人、ちゃんとわかっている」という印象をお客さんに与えることができ、信頼感を得ることができます。

専門用語の予習と、お客さんの問題への深い理解こそ、技術者のメリットなので、
それをしっかり営業に活かしましょう。


最後に

「技術者は技術に集中すべきで、営業は営業のプロに任せれば良い」という考え方もあります。

確かに、その方が効率的で会社が早く成長できるのです。。。が、技術者にとって、それは企業で働くことと何が違うでしょうか?
お客さんを握る人は、会社の運命を握ります。

自分の運命を自分でコントロールしたく起業したのであれば、お客さんを掴める力を身に付けましょう。